2017/04/18

熊笹ノ峰らへんで



気にいった場所を見つけると通い続けるのだ なんどもなんどでも



これまでにいったいここへ何度くらい上がって来ただろう

シーズン毎になんども来るから10回や20回じゃきかないだろうね
そもそも数えた事もないからそんな事判らないんだけど
いずれにしても何度来たかなんてどうでもいいんだよ
まだまだこの先何度も来るだろうし
もし数え出したら そしたら今度はあと何度来れるだろうって
そんな余計な事が気になり始めるだろうからね



ここらの山はたいして高くないんだけど
年明けの頃から春先にかけて何度か雪が降り 条件次第では結構な積雪が期待できる
だから 明日は雪が降るでしょうなんて予報を聞くと
その晩からあくる日の朝が来るまでの間は ちょっと穏やかでは居られない
特に休みの晩だったりすると更にね

ここらでたっぷり雪が付いてくれると本当に助かるんだ
それは時間をかけて他所へ(遠くの)山へ行く必要がなくなるからね
もちろん遠くの山も好きだし
他所には他所の良いとこもある それに景色だって素晴らしいよね
でもね 一応は決まった仕事をしている以上
そうは時間に余裕が持てないのが現実なんだ これは悲しい けど無視は出来ないんだな
時々目をつむって遊び呆けたりもするけど
そんなのはうんとたまにで 何時もそう出来る訳じゃ無い

だから近所の山にたっぷり雪が付くって事は
一日か二日余計に時間をもらった様な
そんな気にさせられる

まずは移動の時間が3時間も4時間も、、から1時間かそこらになるから
その数時間を歩く時間にまわせるって訳だ
もちろんたっぷり寝てから出かけたいなら睡眠時間にそれを使って良いって事になる

とにかく この近所の山塊でなんとのんびりと過ごせるだろうって事だよ
実に単純で明快 のんびりしたいんだ いつだってね 

なんたって助かるのは 有料道路なんかで命を削ってまで時間を買う必要も無いんだ
いくら安全運転を、、
なんて言ったところで長い道中一度や二度は最高速に挑戦したくなるもんだ
”ワタシには覚えが無い” なんて言われても絶対信じないよ まあ追及はしないけどね

それに山に雪が付いたか如何かだって 家のうらやまへ行けばようく見えるんだ
犬のさんぽの時に 今日は如何かな、、、って感じで
その朝に目視してから 決行か否か
で もし否ならそのままさんぽを続ければ良いんだ
犬にしたらどっちでも嬉しいんだから 実に合理的だよね




今シーズンもやっぱり何時も通りにその熊笹ノ峰へ向かうのだ

その日はなんと鞍部にて生誕祭を開いてもらった
実は誕生祝いなんてのは苦手なんだけど
こういう場所だとそんな気恥ずかさも何処へやらなのか
意外に普通に受け入れている自分に少し驚いた

とにかく本当に驚きの展開でこの冬のシーズンが始ったって訳だ

ところで驚きやら意外な展開のせいだけではないにしろ 
この日はちょっと注意散漫な感じになっていたね

さんざん飲み食いした後になってだ
宴をひらげてから既に何時間も経ってる訳だから
もうその時点で午後も二時かそこらになってた筈なんだよ
なのに今から犬越路へ向かおうって全会一致となったのだ

少し前に 何日か前にかなりの雪が降り積もったんだ
だから 宴会場の左へ向かうにしても
これから行こうとしている右にだって踏み跡はおろか痕跡すらも皆無なのにね



”陽が暮れる前には降りれるだろう”なんて甘く考えでいた三人

避難小屋の手前で 無情にも向こうの山影へ落ちて行くお天道様を見届ける事になる
それは のんきにまっ昼間っから何時間も稜線でグダグダしていたツケだった



翌週もまた大体同じ道を辿った
面子も同じの予定だったけど
中の一人が 家庭の事情で自宅軟禁を強いられたため
この日はツダくんと二人きりだった

そうそう もう一つ違いがあって
登り口を変え林道奥の源次郎尾根から乗越へ出て
そして洞へと上がったのだ



洞も好きな山だ
ここいらだと大群が特にお気に入りだけど
此方の方が眺望が良いから 登る頻度からするとやや洞に偏る
蛭も悪くない が何故か最近はとんと足が遠のいている、、何故だろう



とにかくこの辺りへ上がったなら富士が良く見える
富士はデカイので何処からでも良く見えるが
ここで云う”良く”というのは 天辺から裾野まですっかり姿を拝めるという事だ



運よくこの日も富士は見えていた
でも昼飯を食っている間に雲がぐんぐん湧いてきて
それが時々富士やお天道さんにまとわりついて暗くなったり明るくなったりと
風も吹いたり止んだりで 前回のような無風快晴の好条件とはいかなかった
そう 確かに少しばかり寒かった
まあ冬だからこの位の寒さは当たり前だけどね



こういう時は冷え込んで来る前にさっさと降りるに限る
足元が明るいうちに



洞の下り始め
そこは遮るモノもなく遠くまで気持ちの良い眺望が得られる
此の眺めは洞へ来る理由の一つと言っても良いかもしれない



ぐんぐん下ると いくらもしないで熊笹の峰に着く
この間の宴会会場
そこからはいつも通りに富士が大きくみえた

良く思う
と同時にそれを口にすもるんだけど
それは
特別富士が好きって訳じゃないんだよね
でも何故か
何処へ登っていても
いつでも富士を探してしまうのはなんでなんだろうねって
不思議だよね 本当は富士が好きで堪らないのかもしれないよね


それから二週間か三週間は意外と暖かくて
--- この時期 やまへ向かうにしてはって意味でね ---
だからなんとなく事を起こすのが億劫で 気がつけば結構な日が経った



いつだったかさんぽの時に西の方を眺めたら大群の頭が白くなってるのが見えた
だから久しぶりに登ってみようかねって
それはその日じゃあなかったけど
その数日後の休みに犬を連れて やはりいつもの登り口へと向かった

うちから見えていた頭は白かったけど 麓の方は雪なんて何処にも無かった
--- 想像はついていたけど ---
おまけに登り始めなんて酷くぬかるんでいて
でもそれが犬には楽しく仕方がない様子だった

それにしてもあの泥んこまみれの一体何が楽しいんだろうか
腹なんてもうぐちゃぐちゃで
もうほんとに ほんの少しだって触れたくなんて無いよね



それでも高さを稼ぐと少しだけど雪が残っていた

今度はそのわずかな雪ではしゃぐ犬が居た

この戯れ様は此方としても見ていても愉快だ
それと泥が落ちてく様が見てとれるのも、、、

これは 助かる ほんとに
二重の喜びとはこう云う事を例える言葉に違いない
絶対にそうだ他には何も思い浮かばないよ

だからといって さっきのドロが消えて無くなるなんて此れっぽっちも期待してないが
それでも 少なくとも見た目にはかなり良くなってるからね
もちろん 何度も云うが飽くまでも見た目の事
さわったらやっぱり汚ったねえんだけどな



久しぶりの大群だから
たまには記念写真でもと犬を表示板の脇に座らせてみた
そうさせておいて云うのもなんだけど
思った通りのつまらない写真が撮れた 狙い通りではあるがホントにつまらない
だから何だという事も無いが

この見通しの効かない おまけに何処が天辺なのか
そんなはっきりとしない山頂に滞在する理由はあまり無い
なのでさっさと下る

ここは山頂よりも北側の広い尾根が気持ち良い
広い尾根の山毛欅の林が
だからもし登る積りがあるのなら 登って来る間にせいぜい楽しむ事をお勧めする
山毛欅も見通しの良い広い尾根もどちらにも興味が無いというなら
それはもう残念だとしか言えないけど、、



やはり此処からも犬越路へ向かう事になる

このやや東へと下る尾根は 明るく見晴らしも良くて気持ちがいい
人工物がほとんど目に付かないのも良いが
最近は例に漏れず鹿柵が張り巡らされ それが少し残念だ
でもくだる途中途中の肩越しには約束通り富士が見える
この日は生憎と裾野だけだったが



ここの避難小屋は建て替えられて暫く経つ

ついこの前のようなつもりでいたけど
いやはやどうして 気がつけばすっかり年季の入った佇まいになっている
表のデッキなどは朽ちかけていると言ってもいいくらいに

前の小屋は西面が全開になった いや南か 南西かな
とにかく誰もいない避難小屋で その南だか南西の扉を開け放ち
たんざわの殆ど全てを眺めながら此処で暫くぼんやりするのが好きだった
この小屋にはそんな想いでがある

しかし老朽化には抵抗の余地はないのだ
ヒトもそうだ あの頃はポンポンポンとここらを一巡り出来ていたけど
今では 尾根を往復するのがやっと とまあそんな感じである
悲観したまま終わる(体力が尽きる)のもなんなので
ここはそろそろ新しくなったのを残念がるばかりでなく
何れ古くコナレて 何時か見たような味のある佇まいに戻るのだと そう想う事にしよう



日蔭沢沿いの道は何時でも雪が深い
小さな雪崩も珍しくはなく
この日も古いデブリが道を横切っていた

ゴロゴロした塊は犬の頭よりもデカく
犬にもたいそう歩き辛そう
くだり道と言えども余計な仕事を強いられたようで
大きく口を開け ベロをだらりと垂らしながら歩いていた

そのゴロゴロが一段落すると突然足をとめる犬
そして雪に前足後ろ足のすべてを埋め腹を冷やしにかかる

この子は見ていて本当に面白い
当に本能の赴くままにといった行動を取るのである 時にこちらの期待通りに



車止めが近くなると雪が消える
すると再びドロだらけになる

どろんこの犬を車に乗せるのはどうしたって憚られる
別に後生大事にぴかぴかにして乗っているなんて事は絶対にないのだが
それでも泥まみれの犬をそのまま後部座席に押し込むなんてのは
いくらなんでも気が引ける

だから往きしなに渡った沢へ犬を誘導した
犬は純粋無垢だから 云われた通りについてくる
なんと可愛い奴だろう
そうやって犬を自動洗浄するという寸法なのだ
騙くらかしたみたいで まことに犬には申し訳ないがね

2017の冬に いつもの静かなたんざわで

0 件のコメント:

コメントを投稿