28 Nov 2016

島々谷から



島々谷へ入るのは実に初めてだ




島々峪は 沢沿いの林道をひたすら歩き
その単調な作業に飽きたころに取水堰が現れる
そして堰のカミ手にて沢が南と北に分かれている

その昔 この峪へ釣に入る計画を何度となくたてたものだが
奥の方にある岩魚留小屋は釣の者を泊めないと聞いていたので
なんとなく足が向かなかった

特に小屋に泊りたかったわけではない
小屋泊まり自体が苦手なので 泊めてくれようが叶うまいがそれはどうでもよかった

ただ岩魚を食わせている小屋なのに釣り人を受け入れないと云うのが気に食わなかった
少なからず岩魚を売り物にしているのだから きっと小屋の者は釣りをするのだろう
それなのに釣り客はお断り
ワタシは釣りをする だからそんな処へは行くまいと思った 
その地の者に疎まれてまでさかな釣などしたくなかったのだ

でも南北に分かれるのだから 小屋の無い方へ入って行けばよかったのだが
それでもなにか少し気が進まなかった それがなんでだかは未だ知れた事ではないが
そんなすっきりしない何かがあって 結局世紀が変わった今日まで 釣は勿論のこと
沢沿いの道を歩くことすらなかった



そこへ、、、
この赤いルックサックの二人の登場となる

そして いつもの突き抜けた調子で誘われた
”徳本行きましょう” と



取水堰の脇にベンチがあった
木陰で一休みするには丁度良い場所だ

堰の裏手に回り二股を覗いてみた
水量は5対5位だろうか いずれにしても雨の影響か何方も少し多目だった

いわなが泳いでいないかと姿を探してみたけれど
堰の辺りは皆が棹を出すのか 気配すらなかった



林道も取水まで
この先の道には昔道らしく薪炭の跡が所々に現れる



どこでも棹を出せたけど
釣などしていたら峠に着く前に陽が暮れるに違いない
なんといっても 一向に いくら歩いても高度が上がって行かない
そんななだらかで穏やかな素敵な道だった



いくつも橋を渡った
岩魚留小屋の前にある此の橋が最後かと思ったがそうでは無かった



橋の此方から見た小屋は 夏草に埋もれていて不気味な様子だったけど
背の高い草の道を抜けて小屋まで行くって見ると
手を入れればまだまだ使えそうな感じもしたが 再建には相当な覚悟が必要だろう



軒先きの縁側に座って 釣りをするか否かを話し合ったが
此の縁側から見える景色は夏草の藪だけ
おまけに標高が低くいのか酷く暑かった
なので到底現実味のある話などは出来ない

もしそこに美しい流れが見えて
その先の緑濃い淵に 大きないわながぽっかり浮いてでもいたら
そんな絵に描いた景色が広がっていたなら
もう誰に何を確認する必要もなかったのだがね



岩魚留の滝を越えてやや行った所で
淀みに浮いたいわなを見つけた

見つけたしまっては仕方がいと
棹を継いだ、、、

斯くして
あの小屋が朽ちた(正確にはまだ朽ちてはいないが)事で
何かから解き放たれたのか 此処で素直に魚釣が出来た そんな夏の昼下がりだった

でも 早くしないと日が暮れる、、、



陽は暮れなかった

峠には趣のある小屋が建っていた
テント場も快適そのもので
そこには早着の方の渋めのテントが二張り三張り
それなのに 幸いにも
木立の切れ間から見える控えめな絶景が得られる 
そんな素晴らしいスペースが我々に残されていた





明くる日も好天に恵まれた



遠くを眺めならが朝飯を食った 朝飯らしい朝飯を



まだ朝も早かったのでワタシ達は櫓へ向かった

槍見の櫓は森の中にあった

櫓までの森は 昨日の沢道とは大分違うけど同様に静かで美しかった

静かな森が好きだ
だから何時もヒトっ気の無い所ばかりへ向かう
もし お気に入りの静かな森を見つけたなら
静かに森で楽しもう こっそりとね
だからと言って内緒にする必要は無いのだよ
とにかく静かに愉しもう 長くそこで愉しめるように



櫓は思いの外低くて周りの木よりも背が足りない感じだ
長い間かけて木がの方が伸びたんだろうか
まあこれでも槍は見えるから
これもコレぐらいで十分なんだろうね



昼頃に上高地へ降りた
川鱒だろうか 誰も棹を出さなので 此処では渓流のさかなものんびりしている
魚釣を早く覚えたかったら此処で習えば直ぐだろう
ただし 警察沙汰が覚悟出来ればだけどね



皆が歩く側とは川を挟んで反対側を歩いてバス停に向かった

だから思っていたほどの喧騒に巻き込まれる事もなく
昔道を歩いたという感に浸ったまま
赤いルックサックと帰途に着いた

2016/07/19-20 島々谷から徳本峠に

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